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| 夢野久作 |
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| 対談:平成6年4月 |
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| お話: |
西日本新聞社論説委員長 山本 巖氏 |
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葦書房社長 久本 三多氏 |
聞き手:福岡シティ銀行 副頭取 井上 雄介
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※役職および会社名につきましては、原則として発行当時のままとさせていただいております。 |
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夢野久作 略年譜
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井上
夢野久作が見なおされていますね。ただこの人、福岡出身ですが、どうもなじみがうすい。しかし、愉快なペンネームですね。
山本
作家、夢野久作の誕生は大正15年(1926)です。書きあげた『あやかしの鼓』を、義弟が雑誌『新青年』の探偵小説の懸賞募集に応募をすすめます。父・茂丸が「俺にも読ませろ」と言う。そして「ふーん、夢野久作が書いたごたあ〜る小説じゃね〜」と言ったのです。
父の杉山茂丸は明治政界の影の策士として隠然たる力を発揮した大物ですね。
博多で、ちょっとぼんやりしたわけのわからない人物を夢野久作と言っていたので、そんな小説だと言ったのです。
杉山泰道(たいどう)が、それが本名ですがそれは面白いと夢野久作のペンネームで応募するのです。その小説が第2位となり、賞金200円を手にする。1位は該当なしで、2位が二人。もう1篇は山本禾太郎という人の『窓』でした。こうして「夢野久作」が誕生したのです。
司会
面白いですね。あの小説が杉山泰道では形にならない。しかし茂丸自身もなかなかの文筆家で、※義太夫(ぎだゆう)のことや、児玉源太郎大将伝ほか、『百魔』や史伝ものを書いているでしょう。血の流れを感じますね。
| ※ |
義太夫節の略。元禄頃竹本義太夫が大成した音曲で浄瑠璃の一派。竹本・豊竹の二派にわかれ、明治・大正頃まで盛んに流行した。 |
井上
その面白い名の夢野久作さんの代表作『ドグラ・マグラ』が難解で。読み切った人がどれだけいるのですかね。
山本
原稿用紙1,200枚の大作です。令息の龍丸氏の文章によれば、久作は『ドグラ・マグラ』が、聖書や、史記や、あるいは古事記に匹敵する作品と思っていたらしいんです。
ブウウーンン…という柱時計の音ではじまるこの小説は、九州大学医学部精神科に入院している記憶喪失の男が自分探しをする筋書きです。筋が奇々怪々で複雑ですから、大方の人は10頁か20頁で投げ出してしまう。
井上
題名の『ドグラ・マグラ』からして。
山本
それがまたよくわからない。長崎あたりで南蛮渡来の幻魔術の事を言ったという説があるようですね。 |
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